先日、新入社員時代の電話応対について書きましたが、今回はそれに少し関連して、仕事の中で大切だと感じている「メモを取ること」について書いてみたいと思います。
今でこそ、仕事の内容を聞きながら要点を整理してメモを取ることは、ある意味当たり前のことのように感じています。けれど、新人時代の私は、それがまったく得意ではありませんでした。
話を聞いているつもりでも、あとになると細かいところが抜けている。
数字を書いたつもりが、肝心な部分が曖昧になっている。
そもそも、どこに何を書いたのか自分でも分からなくなる。
今思い返すと、なかなかひどい状態だったと思います。
でも、そんな不器用な時期があったからこそ、少しずつ身についたことがあります。
それが、「メモを取る力」でした。
華やかな話ではありません。
けれど、これまでいろいろな仕事をしてきた中で、この力は想像以上に長く自分を助けてくれました。
今回は、そんな新人時代の失敗と、そこから学んだことについて書いてみたいと思います。
新人時代、私はメモを取るのが苦手だった
新人の頃は、先輩や上司から言われたことを、一言も聞き漏らすまいと必死で聞いていました。
でも、実際には「聞くこと」に精一杯で、内容を整理しながらメモに残すところまで頭が回っていませんでした。
その場では「分かりました」と返事をしていても、いざ自分でやろうとすると手が止まる。
「あれ、さっき何て言われたんだっけ」
「順番はこれで合っていたかな」
そんなことがよくありました。
確認すれば済む話ではあるのですが、同じことを何度も聞くのは気が引けます。
しかも、相手が忙しそうにしていると、なおさら聞きにくい。
結局、曖昧なまま進めてしまって、小さなミスをしたり、余計に時間がかかったりしていました。
今思えば、当時の私は「話をちゃんと聞くこと」と「仕事に必要な形で情報を残すこと」は別の力だということを、まだ分かっていなかったのだと思います。
きれいに書くことより、残すことが大事だった
そんな私に、先輩が何度か言ってくれた言葉があります。
「きれいに書こうとしなくていいから、まず残しなさい」
その言葉は、当時の私には少し意外でした。
私はどこかで、「メモは読みやすく、整っていないといけない」と思っていたのです。
だから、うまく書こうとして手が止まる。
きれいにまとめようとして、大事なことを書き漏らす。
でも仕事の現場では、そんなことよりも先に、必要な情報を落とさずに残すことのほうがずっと大事でした。
日付、相手の名前、要件、期限、数字。
まずはそこをしっかり書く。
文章としてきれいにつながっていなくてもいい。
あとで見返したときに、「何を、いつまでに、どうするのか」が分かればいい。
その基本を、私は何度も教えられました。
今振り返ると、本当にその通りだったと思います。
仕事のメモは、誰かに見せるためのノートではなく、自分を助けるための道具なのだと、少しずつ分かるようになっていきました。
メモを取るようになって、仕事のミスが減っていった
不思議なもので、メモを取る習慣が少しずつついてくると、仕事の中での小さなミスが減っていきました。
聞いたことをその場で残しておけば、あとで慌てずに確認できます。
うろ覚えで動かなくて済むので、余計な迷いも減ります。
「たしかこうだったはず」で進める場面が減るだけで、気持ちの負担はかなり軽くなりました。
特に大きかったのは、数字や日時です。
時間、件数、金額、締切。
こういうものは、頭の中だけで覚えておこうとすると、驚くほど簡単に抜けてしまいます。
でも、メモに残しておけば戻れる場所がある。
その安心感は、想像以上に大きいものでした。
そして、メモを取るようになると、ただ忘れ防止になるだけではありませんでした。
話を聞く姿勢そのものも少しずつ変わっていったのです。
相手の話の中で、何が大事なのか。
どこを押さえておけばいいのか。
何をあとで見返す可能性が高いのか。
そういうことを意識しながら聞くようになると、自然と理解の仕方も変わっていきました。
メモを取るというのは、単に書く行為ではなく、情報を整理しながら受け取ることでもあるのだと思います。
仕事ができる人ほど、メモの取り方がうまかった
新人の頃、周りの先輩たちを見ていて感じたことがあります。
それは、仕事ができる人ほど、派手ではなくてもメモの取り方がうまいということでした。
一見すると、さっと書いているだけに見えるのに、必要なことはちゃんと残っている。
細かくびっしり書いているわけではないのに、あとで確認すると要点がすぐ分かる。
しかも、メモを取ったあとに、その内容をすぐ行動に結びつけている。
当時の私は、そういう姿を見て「すごいな」と思っていました。
今なら少し分かります。
あれは単に字がうまいとか、書き慣れているということではなく、仕事の優先順位が見えているということだったのだと思います。
何を残すべきか。
どこを確認すべきか。
どの順番で動けばいいか。
それが頭の中で整理されているから、メモも自然とシンプルで分かりやすくなる。
私はそこまで器用ではありませんでしたが、少しずつ真似をしながら、自分なりのメモの取り方を身につけていきました。
今でも意識している、メモの基本

今でも私が意識しているのは、特別なテクニックではありません。
むしろ、かなり地味で基本的なことばかりです。
まず、相手の名前と用件はできるだけ最初に書くこと。
これがあるだけで、あとで見返したときの分かりやすさがかなり違います。
次に、数字や日時は特に慎重に書くこと。
金額、締切、訪問日、件数などは、少しの聞き違いや書き違いがあとで大きなズレにつながることがあります。
だからこそ、その場で復唱したり、書いた内容を自分でもう一度確認したりすることを大事にしています。
それから、メモは「そのとき分かる書き方」ではなく、「あとで見ても分かる書き方」にすること。
その場の自分には通じても、時間がたつと何のことか分からなくなる書き方では意味がありません。
少し面倒でも、あとで見返す自分のために、最低限の文脈が分かるように残す。
これも大切なことだと思っています。
そして最後に、メモを取ったら終わりにしないこと。
書いた内容を次の行動につなげること。
これを忘れると、どれだけ丁寧に書いていても、ただの記録で終わってしまいます。
メモは、残すことが目的ではなく、仕事を進めるための道具。
今はそう思っています。
どんな仕事でも、メモを取る力は無駄にならなかった
これまで私は、いろいろな仕事をしてきました。
業界も職種も、決してひとつではありません。
でも、不思議なくらいどの仕事でも役に立ったのが、この「メモを取る力」でした。
接客でも、事務でも、電話対応でも、営業でも、オペレーターの仕事でも、人の話を聞いて必要な情報を整理し、次の行動につなげるという流れは共通しています。
仕事の見た目は違っても、土台の部分は案外似ているのだと思います。
新人時代には、こんな地味なことが本当に役に立つのだろうかと思ったこともありました。
でも今になると分かります。
こういう基本ほど、仕事が変わっても残るのです。
むしろ、派手な知識や一時的なスキルよりも、こうした土台のほうが長く自分を支えてくれることがあります。
そのときは面倒に感じたこと。
何度も注意されて嫌になったこと。
できれば避けたかったこと。
そういうものが、時間がたってから思わぬ形で自分の力になっている。
前回の電話応対の記事でも感じたことですが、今回のメモの話でも、やはり同じことを思います。
どんな経験も、無駄ではないのだなと。
おわりに
新人時代の私は、決して要領のいいほうではありませんでした。
メモひとつ取るのにも手間取り、何度も注意され、何度もやり直してきました。
でも、そうやって身につけたことは、時間がたっても意外と残るものです。
華やかではなくても、目立たなくても、仕事の基本をひとつずつ積み重ねていくことには、ちゃんと意味があるのだと思います。
今、もし仕事のことでうまくいかず落ち込んでいる方がいたとしても、目の前の小さな積み重ねは、きっとあとで自分を助けてくれるはずです。
少なくとも、私は何度もそう感じてきました。
メモを取ることは、とても地味です。
けれど、その地味な力が、仕事を支え、自分を支え、いつの間にか自信の土台になっていく。
そんなこともあるのだと思います。
だからこれからも私は、派手さはなくても、こういう基本を大切にしていきたいと思っています。

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